MIZUHO
私がみずほと同居し始めたのは東日本大震災のあった年の翌月2日のことだった。 と言っても、上半身は球体関節作りの、下半身は三つ折といった人形がみずほの正体だ。 みずほという名は震災からの日本の復興を願い、豊葦原の瑞穂の国から私が命名した。 そして、季節は夏へと変わり、みずほには浴衣を着せてやったものの何年も着た切りスズメのままでは可哀そうだとみずほに似合う服はとその都度思い悩んでいたところ、今春に入り、人形やぬいぐるみの衣装を制作している博子さんとの出会いが待っていた。 彼女がヤフオク!に市松人形用に出品していた「セーラー服ともんぺ」をひと目見て私はコレだと思い、みずほのサイズにアレンジして欲しいとの依頼をした。 彼女の答えは二つ返事。 服が届いた数日後、彼女からのメールでみずほの写真を自身のブログに載せたいと言う。 私としては服を着たみずほの雰囲気が彼女に伝わればと背景も考えず軽い気持ちで撮った写真なので困ってしまった。 ましてや私は大の写真下手だ。 ひとさまにとても見せられたものではない。 また背景も悪い。 私の部屋は山積みされた本とダンボールで埋め尽くされている。 だから、人形を撮るようなスペースなど全くない。 そこで、場所を自室からベランダに変え、急遽、写真を撮り直すことにした。 みずほを生で見るとその角度により様々な表情を観察することが出来る。 だが、私にはそんなみずほの姿を器用にファインダーにおさめるのは不得手のようだ。 今後、機会があれば、下手は下手なりにそれでも納得のいくみずほを撮りたいと思っている。 |