アニメ『惡の華』第7話◆虚無の涙
ひとは誰しも虚無と隣り合わせに生きている。 大抵の場合、その存在にうっかり気づいてしまうとひどい目に遭うこと(精神科か宗教のお世話になるか、果ては自滅行為に及ぶハメになるか)を本能的にひとは知っているために無意識のうちにそれにふたをしたまま生涯を終えるひとが大半である。 色即是空、空即是色。 だが、春日君の場合は違った。 仲村さんに佐伯さんの体操着を持ち帰ったところを目撃され、「変態」のレッテルを貼られてしまう。 当初は自身が「変態であること」を否定していた春日君だったが、ついには仲村さんの言うところの「変態であること」を深夜の教室の中において一連の体操着をめぐる行為を公にすることで受け容れてしまう。 その刹那春日君はこの世の中で唯一(仲村さんに)「変態」としてヴェルレーヌ的な選ばれたことによる恍惚と不安を生まれて初めて手にすることができたのだ。 私はこのシーンを見て涙が止まらなくなってしまった。 色即是空、空即是色。 その後のふたりが向かうであろう結末を仮に予測できたとしても。 ひとは誰しも虚無と隣り合わせに生きている。
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